さて、会場に着いてみると、老紳士が非常に多い。この人たちはおそらく、定年退職して金と暇を持て余しているから、こういうところへ来るのでしょう。(※1)
ところで、セミナーやフォーラムでは通常、資料や広告をどっさりとくれるものなのですが、今回はちょっと貧弱でした。
| 貰った物 |
|---|
| 日経CNBCの番組表(紙切れ一枚) MMG証券株式会社のパンフレット このセミナーのプログラム(紙切れ一枚) ハズレの抽選券 粗品(テレビクリーナー) |
| 進行役 | 中嶋健吉氏(日経CNBCアンカー) |
|---|---|
| パネリスト | 草野豊己氏(カリヨン証券東京支店副支店長) 木野内栄治氏(大和総研チーフテクニカルアナリスト) 亀井幸一郎(マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表) |
最初に進行役の中嶋氏が短い挨拶。曰く、世界のマネーの動きは国際政治や地政学的リスク(※2)などによって大きく左右されるのですが、昨年あたりからそのマネーの動きに変調が出てきました。その理由・背景をここで探って行きたいと思います。
さて、今回のパネルディスカッションで取り上げるテーマは大きく分けて3つ。
(1)今年4・5月の世界のマーケットの変調
(2)金融資産から実物資産へ
(3)来年の展開
(※3)
(1)変調の背景
2000年のITバブル崩壊でアメリカは緊急避難的に利下げしていました。その結果、金融緩和が起こって(※4)、ヘッジファンドの株式市場への資金流入が続きました。その額は9000億から1兆ドル。
今年1月のダボス会議(※5)でジョージ・ソロス氏が
「今や金融市場は今までに考えられないパラダイスだ。これが続く限り、パーティーを楽しもうではないか!」
と言うように、世界中に投資先が転がっているので、どんどん投資しようという機運になっていました。
ところが、5月以降、金融緩和が終わるとの観測が流れてヘッジファンドはあわてました。というのは、長い金融緩和にすっかり慣れ切ってしまっていたからです。
利上げをする当事者、FRBのグリーンスパン議長は市場との対話を重視する人で、「やるぞ、やるぞ」と言って周知させておいてから実行に移す。この観測も実はグリーンスパンが発していたもので、事実、今夏に利上げしました。
ただ、市場関係者は今回の利上げを冷ややかに見ています。
「11月の大統領選を側面支援するため」(※6)
とか、
「不景気になった時のために利下げ余地を作っておくため」
などとささやかれ、意地の悪いものでは
「ちょうど日本と同じような(長い不況に苦しむ)道をたどっているんだ」(※7)
などという見方もあります。(※8)
このようにして大金融緩和時代は終わったのですが、先行きに対しては見通しが利かず不透明になっています。アメリカは大統領選を控えて金融政策が縛られているので、選挙までは膠着状態が続き、選挙後に新たな動きが出てくるでしょう。
(2)金融資産から実物資産へ
デフレ時代は物の値段がどんどん下がってゆくから、土地建物などの実物資産を持つよりもお金を持っていた方がお得です。
ところが、デフレ時代が終わってインフレ時代になると実物資産を持っていた方がお得になります。(※9)
それでは、不動産はどうなってゆくのでしょうか?
どうやら、これから上がってゆきそうです。というのは、10年後に団塊ジュニアの人たちが住宅取得適齢期の40代になって住宅需要が増大するからです。(※10)
それからこの会場には若い人がいらっしゃる(※11)からいいことを教えておきましょう。
2006年から5年くらいの間に団塊の世代が大量に退職します。その数およそ700万人。これによってどんな影響があるかといいますと、
1.企業は7%のコスト源
団塊の世代は概して年功序列型の賃金体系の下で高給取りになっています。その彼らが退職すれば、企業の人件費負担が軽減されます。
2.マクロ経済にはネガティブなインパクト
高給取りが退職すればそれだけ収入が減り、消費も抑制されるのです。
3.人手不足でフリーターが消える
企業は700万人が抜けた穴埋めをしないといけません。そこで若年者の大量採用が起こり、技能が未熟とされるフリーターも正社員として採用せざるを得なくなります。そのために、400万人(※12)いるとされるフリーターは全く消えてしまうのではないでしょうか。
次に、原油価格について。原油自体は今のところ足りているのですが、なかなか下がらない。なぜ高騰したのでしょうか?
今回の高騰は前回のオイルショックとは違います。オイルショックはOPEC、原油国の供給サイドの問題でした。
しかし今回はイラク戦争・テロ戦争などのように供給サイドの問題もあるにはありますが、それだけではありません。
・中国などの新需要
中国は経済発展に伴ってエネルギー需要が増大し続けています。そこで中国は将来の原油まで確保しようとなりふり構わぬ行動をとってきます。(※13)
・ヘッジファンドの台頭
ヘッジファンドが商品市場でマネーゲームをして、相場の撹乱要因になっています。
今後の予想ですが、原油は10年以上の長いターム(期間)で値上がりし、1バレル70ドルを目指してもおかしくない。(※14)
原油高に耐性がないアメリカはちょっとまずいんですが、日本はオイルショックで耐性がついているから、原油高の悪影響をそれほど受けず、世界中の資金が日本に流れ込む可能性があります。その点では日本にとってメリットがあるといえるでしょう。
寧ろ心配なのは、抵抗力がまったくといってよいほどついていない中国です。中国があわてふためいて、自分で自分の首を絞めることになりかねません。
(3)来年の展開
外国から見れば、13年間下げ続けた日本の地価は安くて安くてたまらないんです。そこで、世界のマネーが日本に流入します。そのため、穏やかなインフレが続くのではないでしょうか。
又、アメリカの双子の赤字(※15)によってドル安が続くのではないでしょうか。
大統領選では、今のところブッシュが有利とされていますが、過去の例から見てどちらが勝つかわかりません。しかし、ケリーにせよブッシュにせよ、当選したら取り組まなければならないのは双子の赤字対策です。(※16)
最後に、投資家の皆さんへのアドバイスを。
今年の夏のアテネオリンピックで、日本は大量にメダルを獲得しましたが、メダルをとった種目を調べてみると、殆どが個人種目なんです。マラソン然り、柔道然り…。団体種目で金メダルを取ったのは体操ですが、これも個人の競技の積み重ねです。団体はあまり振るわなかった。
日本の企業もこれと同じようなもので、全体としては振るわないものの、個々の企業の中から金メダルを取る者が続々と出てきているんです。(※17)
まだまだ金メダルを取れそうな企業がありますので、投資家の皆さんはそれをいかに選別してゆくかが重要になります。(※18)
第2部は堀井眞一氏(NIFベンチャーズ特別顧問、日本ベンチャーキャピタル協会会長)の講演です。(※19)
原油高やテロ不安など、目先の話は色々ありますが、日本の株価は1990年から下げ続けて、7000円台で底を打ちました。だから今後は上昇に向かうので、今の11000円前後の停滞は長期上昇の踊り場に過ぎません。長期的に考えれば全然問題ない。
ところで、株式相場(チャート)には、投資家心理(人間の心)が反映されているんです。人間の心には2つのものがあって、それは「欲望」と「臆病」です。欲望とは「もっと儲けたい」という思いで、臆病とは「損をするんじゃないか」という思いです。景気のいいときには欲望の方が大きくなって、不景気になると臆病が優勢になるんです。
さて、ちょっとここで暴落の歴史を振り返ってみましょう。
| 17世紀 | オランダ | チューリップ狂騒相場 | トルコからチューリップの球根を輸入して大ブームに。高いものでは球根1個で5000〜6000万円にもなった。 |
| 18世紀 | イギリス | 南海泡沫事件 | イギリスが国策で作った南海会社が、実体のない新規事業を宣伝して株式市場で金を集めていた。当然のことながらその後南海の株が大暴落して問題になった。 |
| 19世紀 | アメリカ | 1929年の大恐慌 | ブラックサーズデー(暗黒の木曜日) |
| 20世紀 | 日本 | バブル崩壊 | プラザ合意で円高になった後、政府は内需を拡大するためにお金を大量に供給。空前の好景気に沸く。「東京ドーム一つでカナダ全土が丸ごと買える」などと言われたことも。 |
相場というものは、50年にいっぺん行き過ぎ(上がりすぎ、下がりすぎ)をやります。日本のバブル景気は50年に1度の行き過ぎで、バブル崩壊後の不況も50年に1度の行き過ぎです。
それでは今後の日本の株式はどうなるんでしょうか?
近年では外国人の持ち株比率が平成16年3月時点で21.8%と、銀行・企業・個人投資家を抑えてトップに立っていますが(※20)、その外国人がどう見ているかといいますと、「国際的に見て日本株は割安だ」「日本企業の業績も立ち直ってくるだろう」ということで、全然売る気配がない。去年は9兆5000億円の買い越しで、今年8月末で5兆円の買い越しなんです。
では、企業の業績はどうかというと、大和総研は企業の業績が良くなると試算しています。
又、日銀の政策金融緩和をしているから、マーシャルのK(※21)が140%と未曾有の高さになっており、この余った金はまだ使い切っていない。これがデフレからインフレに転換する時に堰を切ったように一挙に流れて株価がドカーンと上がる。これがいつ起こってもおかしくないんです。
又、会社の株式持合いが解消されて株価が低迷しましたが、その解消された株の引き受け手になるのは個人投資家と外国人投資家しかいない。
竹中平蔵は「貯蓄から投資へ」と唱えて、貯蓄に回っている個人マネーを株式に流入させる施策をとってくるらしいです。例えば(半年後の)ペイオフ解禁です。
さて、そこで投資家の皆さんにアドバイスします。(※22)
株で大儲けしたかったら、若い成長株を買う。幕下から買ってください。例えばトヨタは優良企業ですが、株価が10倍になることはない。ところがソフトバンクやヤフーなどの若い成長株は何十倍にもなる。
又、今回の景気回復は戦後初めて中小企業が自律的に回復してきたものなのです。
他にも、
(1)勝ち組の中小企業は強い…ソフトバンクや楽天がいい例です。
(2)勝ち組の中小企業は資金余剰…運用先の確保に奔走する銀行が融資したがるのです。
(3)勝ち組の中小企業はデフレ終焉への感応度が高い…かつてビル・ゲイツがIBMに殴り込みをかけたような状況が今の日本に起きています。(※23)
といったような特徴があります。
今年に入って既に100社が新規上場していますが、その殆どが平成になってできた会社で、社長の平均年齢は49歳です。(※24)
2006年の商法改正で、外資によるM&A(企業買収)が来ます。商法改正によって何が変わるのかというと、会社の株式と株式とを交換することができるようになるのです。そうなると、株式の時価総額が大きい外資が、株式の時価総額の低い日本企業を買収することが容易になるのです。例えば、ウォルマートの株の1%で、名門百貨店・三越の株が丸ごと買えてしまうのです。
ひょっとしたら、ウィンブルドン現象(※25)が起こるかもしれません。気が付いたら社長はみんな外国人ばかりだった、なんてことも。
| 株式市場のメカニズム(※26) |
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| 1.強気相場は総悲観の中で生まれ 2.懐疑の中で育ち、 3.楽観の中で成熟し、 4.幸福の中で消えてゆく。 |
最後に、まとめのアドバイスを。
お金儲けしたかったら、勉強してください。人に訊いてはダメ!
そこでヒントを差し上げます。ヒントは新興企業株とユビキタス(※27)とナノテクです。
とにかく自信がないのは日本人だけ(※28)。外国人は景気が回復すると信じています。